前回に引き続き、作家の堀口岱子さんをご紹介します。
人体彫刻を寒冷紗で包む作品「キナ」。
寒冷紗とは、麻や綿などの織糸を荒く平織に織り込んだ布のこと。
堀口岱子さんの作品「キナ」は“翁”からとった言葉で、「人型」として用いている。
制作は、デッサン、ドローイング、を経てイメージを作ることから始まる。
平面で表現するか、立体で表現するか、ドローイングの段階で構想を練る。
構想から数十年かけ、立体にすることができた鉄の作品「キナ」。
それは細く、長く、儚い感じさえする。
テラコッタとは質感や雰囲気が全く違うが、作家の作品に対するテーマは変わらず「人」にある。
人の形を通して平面の作品、立体の作品、共に人間の内側、精神的なものに対する畏怖を感じる。
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「現代アートのアトリエから No.6」
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Kina
「2×2=4も素敵なことだと認めるが、もしあらゆるものをほめねばならないとすると、2×2=5となることも、又魅力あることであろう」
ドストエフスキー
モーリス・ナドウ著、シュールレアリズムの歴史の一文を体のどこかに感じていた頃、家を引っ越す事になりました。
引っ越しの作業が終わり、ぼんやりと布きれにまかれた彫刻を見ているとなぜか急に胸さわぎがするのです。
不思議な感動。
布にまかれた彫刻の周りをぐるぐる廻り、遠ざかり、近づき、行ったり来たり、「見えるものと見えないもの」「意識と無意識」「虚像と実像」「夢と現実」、布にまかれた彫刻は強く私の内部に入りこんでモヤモヤした感情を強く揺り動かし、その波動はもう留めようがなく、気がついたら裸の彫刻は皆半透明な布きれの集合で覆いつくされました。
この作品はこんな他愛もない発端から生まれました。
本来なら作品の制作は明確な思考や理性、あるいは独自の美のイメージを持って行われるものと思いますが、これは全くの公から個へ、「認識よりも無意識」「論理よりも夢想」をと明確な着地の場所も又、狐火のようにあいまいで、わずかな価値を持っていたであろうものさえ、布きれで覆われてしまえば、今はかえって窒息しかかった精神を、心地よく解放し、あるがままの感性を制作態度とし、「外部を内部」に「夢想を行為」にと変えられた彫刻たちが私からあなたへの言葉(魂から魂)の問いかけとなれたら幸せです。
堀口岱子
引用元:堀口岱子 個展「Kina」(2007年 cafe RITZ / F-ritz art center)に寄せた文章より
略歴
個展
1992年 ギャラリーモテキ(銀座)
1994年 ギャラリーモテキ(銀座)
1996年 ギャラリーモテキ(銀座)
1997年 スペースU(館林)
1998年 ギャラリーモテキ(銀座)
2007年 cafe Ritz(前橋)
2015年 前橋市芸術文化れんが蔵(前橋)
他
グループ展
多数
公募展・団体展
多数
企画展
2011年 The rising generation 9 堀口岱子 水村綾子
渋川美術館・桑原巨守彫刻美術館(渋川)
2013年~2021年
The rising generation 特別企画 vol.1.2.3.4.5
箱の中に見えるもの
渋川美術館・桑原巨守彫刻美術館(渋川)
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